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今から20年前の1998年7月17日は、bice がポニーキャニオン移籍後初となる4曲入りのマキシ・シングルが発売された日です。(それまでの大体の経緯はこちら)
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中島優子時代の後期に築いた人脈を生かしつつ初めての共演となるアーティストも迎えて、英語詞中心の前作 『Spotty Syrup』 よりポピュラーな展開を明確に目指した、日本語詞による新たな bice のサウンドを模索する様子が窺える作品になっています。
bice となってからも彼女の歌い方や声質はキャリアを重ねる中で少しずつ変化して行きましたが、この頃の普通の歌唱法とウィスパーの中間のような歌声には、これはこれで発展する可能性を秘めていたような、独自の魅力がありますね。
ポニーキャニオン時代2作品の
情報を盛り込んだハイライト動画
当時のポニーキャニオンの担当ディレクターのメッセージによると、相当に「渋谷系」を意識した宣伝戦略が進められていたようです。若干気恥ずかしさを覚えるような「外資系 (CD ショップ) を中心にバカ売れ」と行った文言も時代を感じさせます。
http://web.archive.org/web/20050327153410/www.ponycanyon.co.jp/wtne/cdj/0717bice.html
ただそういったプロモーションの意図とは裏腹に、渋谷系を好んだ音楽ファンに bice の名が十分に広まるまでには至らなかったのは、ポニーキャニオンではシングル2枚のみで、アルバムをリリースできずに終わってしまったことが大きかったかもしれませんが、彼女の作品が渋谷系とされる音楽とは少しずれがあったのかもしれません。いずれにしろ、今となってはそれがかえって良かったようにも思えます。
ポニーキャニオンから離れて以降はプロモーションにおいても、既に下火になっていた渋谷系ムーヴメントの後追いをしているアーティスト、といったどこか後ろ向きなイメージをつけて音楽ジャンルを限定するよりも、彼女のシンガーソングライターとしての個や幅広い音楽性にスポットが当てられるように変わっていったように見えるからです。
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