中島優子インタビュー GiRLPOP 1994年 Vol. 9

2019年5月30日

1994 GiRLPOP インタビュー おいつけ!おいこせ! ガールポップ 中島優子

マイペースで我が道をいく、かなり強烈な奴だった

94年のGPシーンの台風の目になりそうなのがこの中島優子クン。マッキントッシュのコンピュータを使って、曲作りに余念のない彼女が最近気になることは?デビュー2カ月後の近況をお伝えします。


PHOTO: YOUICHI SUEHARA

TEXT: MIHO ARAAKE





  先月、行われた "LIVE GiRLPOP" に初登場した中島優子。デビュー前から単独ライブにトライしていた彼女だけれど、この日はなぜか、ステージで自分の名前を言い忘れるほど、緊張してしまったらしい。
 
「そうなんですよ。いろんなアーティストと一緒だ ったから、妙な緊張感があって。こんばんは、と言った後に、名前を言ったつもりだったんだけど、言ってなかったみたいですね(笑)。慣れてきたのは、 最後の曲を歌う頃でした。唯一、うれしかったのは、前のほうのファンが、中島Tシャツを着て応援してくれたことですね」
 
  前号で紹介したとおり、この5月にシングル「はじまったばかり」でデビューした彼女。続いてアルバム「おいつけ! おいこせ!」を発売し、ライブやキャンペーンをこなし、やっと少しだけひと段落ついたというところで、このインタビューにのぞんでいる。「写真で見るとプクッと見える」と気にしていた頬が、こころなしかほっそりしたように見える。ここ最近の彼女は、どんな毎日をおくっているのだろうか。
 
 「今、曲作りをしているところなんですよ。だから、 昨日も1日中マック(マッキントッシュ)の前にいて、ずっと曲を書いたり、直したりしてました。曲作りをする日は、朝から洋楽を聴いて、気分を盛り上げてから始めるんです。昨日聴いたのはXTC。 意外とポップで良かったですね。家にいる時は、そんなふうにCDを聴きながら雑誌を読んでるか、マックの前に座っているかですね」
 
 という、音楽漬けの様子。といっても、ジーッとしてるばかりではない。

「アウトドアも好きなんですよ。週末は、必ず長距離を走るようにしてるし。川沿いのマラソン・コースを、45分くらい走るんです。緑の匂いがする場所だから、すごく気持ちいい。その川原でよくバーベキューをやっている人がいるから、私も道具を揃えてやりたいなぁなんて思ってるんです」
 
 

  彼女の活力源は和食。自分ひとりで食べるときは、ご飯とのり、お茶があれば何もいらないという質素派だが、おばあちゃんが作ってくれる、ひじきやきりぼし大根の煮物が大好きとか。ちなみに、自分で作るのはサラダくらいというから、料理はこれから勉強するというところだ。
 
  ところで、最近うれしかったことは、学生時代の先生と久しぶりに話ができたこと。
 
「広島に9年間住んでいたんだけど、その当時の小学校1、2年のときの先生なんです。10年ぶりに話したんだけど、全然変わってなかった。私って昔からイベント好きだったから、お楽しみ会で頑張っていたわね。なんて言われちゃったりして。当時の友達にも言われたんだけど、私ってマイペースで我が道を行くタイプで、けっこう強烈な奴だったみたいですよ。それから引っ越して、いちからやり直したけど(笑)。新しい学校に行くと、誰も知らないわけだから腰が低くなりますよ。だから、人生の中で転校があって良かった。あのままいったら、ジャイアンのような子になっていたと思います(笑)」

 
  でも、このマイペースというのは、アーティストにとって必要な要素なんじゃないだろうか。デビューしてからの彼女は、そのあたりに変化はあったのかというと、

「いたってナチュラルだと思いますよ。ライブで名前を言わないくらい謙虚だし(笑)。ラジオやテレビでカッコよく振る舞おうと思っても、無理なんですよね。きっと、落ち着きのない中島が出てしまってると思う。
自分のことをアーティストなんだと実感するのは、レコーディングで曲がカッコ良く出来上がったときとか、自然と書いた曲が褒められたときかな。やっぱり私って、ナチュラルにしていたほうがいいのかもしれない。今は、自分のできることを精一杯やって、歌にすることが第一ですね」

  ちょっと早口で、一生懸命に話す彼女の雰囲気は、確かにアーティストとしての風格は乏しいかもしれない。でも、まだまだこれからだ。 マックと向かい合って、中島優子としてのスタンスを築ける曲を生み出すために試行錯誤し、ライブで懸命に歌いかけ、少しずつアーティスティックな輝きを自分のものにしていく。その過程を見守るのは、とてもワクワクするものがある。

「今は、曲がなかなか出来ないのが気がかりなんですけど、次のライブで未発表曲を披露したいと思ってるんですよ。だから、頑張らなきゃ」


  夏休みがもらえたら、友達と車で遠出をしたりテニスを習いに行きたい、という希望もあるが、今は音楽のことで頭がイッパイ。その成果を、どんな形で私たちに届けてくれるのだろうか。

(ガールポップ Vol. 9 1994年8月号掲載)

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