本題に入る前に最近見かけた小さな話題を。
多分 advantage Lucy の石坂義晴さんのアカウントだと思うのですが、もし違っていたらごめんなさい。プロフィールなど書かれていないのでプライベート用?でも公開で bice のことを書かれているのでご紹介しても差し支えはないのかなと。ちょっと面白いやり取りです。
帰り道のbice最高だな会いたいな
biceが家に来てこっそり新曲を聴かせてくれた時があった
俺「このイントロいいやん」
bice「パクんなよ」
俺「この展開ありだな」
bice「パクんなよ」
って何しに来た?って思ったけど、嬉しそうだったな
ほんと尊敬してたよ会いたいな
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Catch Up! The Voice Interview Selection
bice ビーチェ
約1年半ぶりとなるニュー・マキシ・シングル『ツイオク』を6月28日にリリースしたbice。さわやかなウイスパー・ボイスは健在!
曲全体の流れとか、音の絡み具合っていうのがいい感じです
"追憶"って漢字で書くと "終わっちゃった感"があるの
ウイスパー・ボイスで透明感のある独特な世界観を作りだすbiceが、約1年半ぶりとなるニュー・シングル『ツイオク』を6月9日にリリースした。今回のリリースまでの1年半という期間の彼女の活動について聞いてみると。
「1年半という時間というのは、単純に考えるととっても長かったように思われるんでしょうね。でも、ちょこちょこっとスタジオにも入ってたりして、マイペースで曲作りをしていました。けっこう楽観的でしたよ(笑)」
自分の作品の制作を続けていたほか、我那覇美奈や吉川ひなの、ビビアン・スーに楽曲提供もしている。
「それに、カジ(ヒデキ)くんのツアーに参加したりとか、コンピレーション・アルバムに参加したりとかしてましたから、なんかこの1年半はあっという間だったような気がします」
彼女はもともと宅録を行っていて、自宅に機材を所有していたが、最近、さらに機材も増えているようだ。
「これからは自宅で制作する時代なのかなって思って(笑)、ハードディスクレコーダーとか、いろいろ機材を買っちゃいました。自宅でもある程度完パケられるようにしようって、新しい機材を触ったり操作を覚えたりしたんですよ。パソコンも新しいのを買いましたし。今まで、Power mac 7300を使ってたんですけど、最近G4に換えました。 処理速度がすごく速いんです」
そんな新しい環境の中で作ったのが、ニュー・シングルの『ツイオク』だ。
「この曲は今年の初めごろに作った曲です。まぁ、自分としては、その時期その時期に『ちょっと抜けたな』って感じる曲ができたりするんです。『ツイオク』は、 まさにそんな曲だったんです。アレンジはそんなにすごいことをやってないんですけど、曲全体の流れとか音の絡み具合いっていうのがいい感じです。ちょっと新鮮さのある曲になりました」
タイトルを"追憶"という漢字表記ではなく、"ツイオク"というカタカナにしたのも理由があるとのこと。
「字面ってすごく大事だと思うの。何でもかんでもカタカナにするっていうわけじゃないんだけど、難しい漢字ってよくないんです。なんか、私っぽくないですよね(笑)。詞の内容もそんなに深刻なものじゃないし、曲のイメージにはカタカナのほうが合ってると思うんです。漢字だと"終わっちゃった感"があって。 実は、最初につけた仮タイトルも『ツイオク』だったんです。完成した曲を聴いてもイメージどおりだったので、そのまま本タイトルにしちゃいました」
この曲には、NONA REEVESのギタリストの奥田健介とドラマーの小松茂が参加している。彼らは、彼女がメジャー・デビュー前にインディーズからリリースしたアルバム『Spotty Syrup』でもプレイしており、biceの作品のよき理解者たちでもある。
「奥田くんはビビアン (・スー) の曲で最近いっしょに仕事したんですけど、小松くんはホント久しぶりでした。奥田くんは物静かなタイプなんだけど、適切な意見を言ってくれるんです。 私、いろいろ迷うほうなので (笑)、そんなときに 『僕はこのほうが好きだな』とか言ってくれるとすごく助かります。自分の考えが正しいのか間違ってるのか客観的に見てくれるのが奥田くんのいいところです。 小松くんは、ドラムがますますよくなってて、すごいなぁって思いました。ふたりともすごく尊敬できるミュージシャンです」
カップリング曲の『真夏の風はクルクル』にはコレクターズの小里誠が参加。信頼できるミュージシャンたちに支えられたニュー・シングルは、非常にクオリティーの高い作品となった。そして現在、彼女は秋にリリースが予定されている1stアルバムの制作に取りかかっている。
「1stアルバムだから、いろいろ考えちゃいますね。アコースティック・ギターを前面に出している『ツイオク』とかが基本ラインになります。他には、ちょっとニューウェーブ的なものやプログレみたいなものもあるかも。洋楽は好きだけど、まるっきり洋楽にはならないと思う。日本人の心を忘れないっていうのがありますから(笑)」
曲作りも順調だという彼女。秋にどんなアルバムを完成させるだろうか。彼女の言葉から想像すると、期待できそうだ。
Text: 田中隆信
(Girls Hits! Vol.10, 2000年8月号掲載)