スウェーデン SuperLounge (2002年) bice 記事の日本語訳 その1. ライヴ編

2018年3月15日

2002 apila bice let love be your destiny super lounge アルバム インタビュー ハムラビコーヒー 日本語訳

以下は2010年ごろまで更新されていた、スウェーデン語のウェブ・マガジン、SuperLounge の Vol. 2, No. 10  (2002年) (サイドバーのリンク集からも行けます)に掲載の Jesper L. さんによる独自取材記事の日本語訳です。機械翻訳による英訳から私が日本語に重訳したものです。筆者の方の個人的なことが書いてある部分は省略させて頂きましたが、それ以外はほぼ訳出してあります。
 
google と Microsoft の二種のスウェーデン語からの英訳をその都度見比べ、より意味が通る方を採用しましたが、機械翻訳の精度には限界もありますので、かなり原文とはニュアンスが変わっていたり、誤訳している部分もあるかと思います。あくまで大意としてこのような趣旨のことが書いてある、と大目に見てくだされば幸いです。便宜上、ライヴ編とインタビュー編の2回に分けました。
 
文中のカフェ・ライヴは bice が 元ハニー・スクールメイツの apila さん、元エスレフノックの青木美智子さんによるユニット、Quinka, with a Yawn と共同で開催していた「ハムラビコーヒー」シリーズの Vol. 1 (2002年5月12日 宇田川カフェ) のことを指しているようです。
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日本のポップ・シンガー apila から招待を受け、渋谷でのカフェ・コンサートを訪れたイェスペルを夢中にさせた、もう一人の女性シンガーがいました。
 
「ヴァネッサ・パラディへの日本からの回答」とのイェスペルの言い分が正しいかどうかは、読んで、聴いて、見て、自分で確かめてみてください。

                        
 
2002 | Jesper L.
 
僕はその日、apila (アーティスト名はフィンランド語から採られている)という日本人のポップ・シンガーからカフェ・ライヴに招待されていた。ライヴに間に合うかどうか分からなかったが、無料でライヴを楽しめ、CDを貰える上に、日本の女性ミュージシャンの最新動向を知るにもまたとない機会なので、友人に声をかけ駆けつけることにした。
 
ライヴ会場は渋谷の中心にあるビルの7階で、平均的な日本のカフェからすれば広めなところだった。僕たちが入った頃には既に満員で、立っても座っても他の客の視界を遮らないで済む場所はどこにもなかった。

ちょうど apila が演奏中だったが、僕らが遅れたせいで、もうすぐ終わるところだった。apila にはライヴの大半を聴けなかったことをお詫びすると共に、彼女の音楽にはとてもとても「スウェディッシュ・ポップ」らしさを感じると伝えたい。きっと彼女は驚きつつとても喜んでくれるだろう。日本ではスウェディッシュ・ポップの人気が依然として高いのだ。

 
ステージ上では、シンプルな白のトップスに黒のパンツの装いの日本女性が、一人で楽器とアンプ類をセットしている。ほどなくして準備が整った彼女は、「こんばんは」と調整されたマイクに近過ぎるぐらいに寄って挨拶すると、集中してからアコースティック・ギターで最初のコードを鳴らし、次のコードからまた最初のコードに戻りそれを繰り返した。
 
少し不安定でシンプルすぎるように聞こえたので、僕の「ギターを抱えた女の子」への偏見が一瞬頭をもたげそうになったところで、彼女が歌い始めた。なんという歌声だろう。それは溶けてしまいそうなほど美しかった。
 
まるでトンネルのように、この場所も他の観客も、僕の視野の外れで霞んでゆき、窓の外から差すネオンの光に美しく映えるその女性とギターだけに焦点が合った。聴覚フィルターが、彼女の少しかすれた囁き声と素敵なギタープレイ以外の全ての音を遮断してしまった。その音楽は愛から生まれ、音楽への愛に根ざしているに違いない。
 
比較対象として浮かんだのはヴァネッサ・パラディ、Chara、カヒミ・カリィ、スティーナ・ノルデンスタムあたりだ。彼女の言によればこれが初めてのカフェ・ライヴということだが、ベストではないにしても、かなり良い、どころか素晴らしい。

 
更に曲が続く。最初の2曲は英語詞のものと日本語詞の中でサビに "...walking in the rain" と英語のフレーズが混じる曲。そしてエレキギターを持ったギタリストが加わった。彼は赤白のストライプのポップなシャツ - 日本なら無印良品やユニクロなど、スウェーデンなら Polarn O. Pyret(ポーラン・オ・ピレット)か KappAhl (カッポール)にありそうな - を着て、面白い髪型をしていた。一見ギタリストっぽく見えないのに、素晴らしい音を聴かせてくれた。

 
ある曲中で彼女はドラムマシーンを被せてきて、それが面白い効果を生んでいた。そしてジョイ・ディヴィジョンの「Love will tear us apart」の死にたくなるほど素晴らしいカバー・バージョンを披露した。そして益々甘美になってゆく彼女の音楽に僕は蕩けるばかりだった。音楽というものが人の感覚にいかに影響を与えるかを想像してみて欲しい。
 
ライヴ終了後、僕は興奮冷めやらぬまま、まだぼうっとしていたが、その女性の名が bice であることが分かると、なんとか伝えなくてはという気になった。
 
僕が彼女の音楽をどれだけ気に入ったかをたどたどしい日本語で bice に伝えると、彼女はクリスマスの天使のように微笑んだ。ちょっと厚かましいかとも思ったが、その場でインタビューを申込み、次の瞬間にはもう連絡先や会見場所と時間が書かれた紙切れを手にしていた。幸運だった。 (その2. インタビュー編に続く)

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