『Nectar』 は bice として初のフル・アルバムで、当初は2000年11月に発売予定だったものが、当時のレコード会社アウトサイドの突然の解散を受け、再度移籍先を探してやっと徳間ジャパンから発売するに至ったという経緯もあり、彼女はプロモーション活動も精力的に行っていました。
おそらく2001年は彼女のアーティストとしてのキャリアの中で一番沢山の取材を受けていた時期だろうと思います。その中には当時の公式サイトに情報が掲載されていなかった雑誌も多数含まれていました。
沢山の取材を丁寧にこなす姿勢からは、苦労して制作を続けたアルバムだけに少しでも多くの人に届けたい、聴いてほしいという真摯で切実な思いを感じます。
bice ビーチェ
じっくり、やりたいことを
全部つめこんだアルバムです
小さな顔に大きな瞳。まるでお人形さんのようなキュートなフェイス。あのふんわりとしてやわらかな歌声は、ここから生まれてくるのだなと、思わず納得してしまう。
今回リリースの1stアルバム『Nectar』は、98年のメジャーデビューから3年、biceの"想い"がたくさん詰まったアルバムに仕上がったという。
「2-3年かけて作ったアルバムなので、とにかく今までに影響を受けた音楽とか想いとかを溜めに溜めて。やれる事は全てやったって感じですね。ファーストなので自分の音楽性もわかってもらいたかったし」
"ドラマティックな構成の曲"にこだわったという今回のアルバムは、その分、詞を乗せるのに苦労したとか。
今回、松本隆氏らも作詞に参加。biceの詞とは一味違ったいいポイントになって、アルバム全体がバランスよく仕上がっている。歌入れをしながら即興で考えたりすることもあるという彼女の詞には、女の子が恋愛で体験する、嫉妬や切なさといった微妙な心の動きが描かれている事が多い。
「恋愛してる時って、必ずしもきれいなだけじゃないと思う。アルバムタイトルを『Nectar』にしたのも、ドロドロした、ちょっと毒々しいものも入ってるぞ、って意味合いも込めて」
ところが彼女のメロディに乗るとその毒々しさもサラリと聞こえてしまうから不思議だ。
最近やっと、「やれるものと好きなものが一致してきた」と語る彼女。一昨年プライベートで訪れた阿蘇山では「"生きてて良かった"と思えるほど地球を感じた」という嬉しい言葉も。近い将来、熊本でのライブを期待したい。
(タウン情報クマモト vol. 261 2001年7月号掲載)