Barfout! Vol. 071  bice インタビュー (2001年7月号)

2018年10月20日

2001 an apple a day bice Nectar インタビュー 出版物

「真夏の風はクルクル」から、すっかり「コスモス」の季節になりましたね。


アルバム 『Nectar』 は Amazon (マーケット)の方でも暫く前から品切れのままのようです。レコチョクで配信(ダウンロードとストリーミング)されてはいますが、やはり CD、アナログ盤など物理メディアでの再発売も強く望まれていると感じます

以下は 『Barfout!』  から、『Nectar』 発売時のインタビューです。彼女のオールタイム・フェイバリット CD の紹介も合わせてご覧下さい。



the FACES of the town
bice
2001.5.23 WED at OMOTESANDOH
山崎二郎 - テキスト Text by Jiro Yamazaki

 

去年6月にリリースしたシングル『ツイオク』、カヴァー・アルバム『Covers』以来、biceが1年ぶりに初のオリジナル・アルバム『Nectar』を7月4日に発表する。

ソフト・ロックの黄金律に忠実になぞっていそうで、意外な展開に持っていくソングライティングのセンス、手法は彼女ならではの手さばき。日常を歌っていながら、現実感から遠く離れたアナザー・ワールドを作り上げるbiceに逢ってみた。


新作 『Nectar』 について

3年前くらいに遡るんですが、フリー・デザインとかミニレアムのソフト・ロックを今やったらどうだろう?ってことで。

チューダー・ロッジっていうトラッド・フォークのバンドが来日して私がキーボードをやったんですけど、彼らの普通とは違ったドラマティックな曲作りの影響がとっても大きかったですね。

そこから 「嵐が丘」 を書いていって。実らない恋の話を書こうと思って最初は自分で書いてたんですけど、うまくいかなくて。

それで松本隆さんにお願いしたんですけど、実際にお会いしてなんてピュアな方なんだなって感じて。最初、タイトルだけ送られて来て「重いなあ」って思ったんですけど、何回か歌っていくうちにいつもは言い切らないところをスパッと言ってて。「私の声ならここまで言っていいんだ」って新鮮に思えて。いつもとは違う気持ちで歌えましたね。 




自分の歌はポップでありつつ、常に新しいものを乗っけていきたいっていうのがあって。歌詞の面では、重いものとか現実を求め過ぎないようにしてて。

ホントだったら歌詞って「書けない」って人なんですよ。 「言える事があるから歌えるのに私は......」
なんて一時期煮詰まって、それを抜け出したから今があって。


今回だったら 「An apple a day」 みたいに、サウンドが先にあって言葉遊び的に歌詞を書いてくみたいにして。全部のレコーディングを終えて、ストリングスとかありますけど、大人の毒とか入ってるなって。ですけど、現実は厳しいんで甘い世界を出していきたいっていうのが自分にはあります。

好きな飲み物がネクターなんですけど、缶とかずっと同じデザインでいいじゃないですか?それでアルバム・タイトルを 『Nectar』 ってしたんですね。

「innocent」 っていうのもキーワードなんですけど、 もう白には戻れないみたいな。その頃の気持ちが好きっていうのがすごく大事で。私の中では小学生の高学年が思い出すinnocentで。まあ、高校の時もあるし、考えていくと記憶がない頃に戻ってしまうけど。

私、コンサートでも手を挙げられないんですけど、子供の頃から「みんな、無邪気でいいな」って客観的に見てた感じってありますよね。

10代後半の音楽をはじめた頃は「こうでなきゃならない」っていうのが強くありましたけど、やっと今の歳になって自分をうまく表現出来るようになりました。

 



All Time FavoritesのCDです。





『FROM LANGLEY PARK TO MEMPHIS』
『JORDAN: THE COMEBACK』
by PREFAB SPROUT

いつ聴いてもときめくんですよね。曲作りが型にハマってないんだけど、すごくポップで。





『TAKE A PICTURE』
by MARGO GURYAN

目指すところっていうか。ウィスパーなんだけど芯の強さがあるところが。






『RAVEL: COMPLETE WORKS FOR SOLO PIANO』
by PAUL CROSSLEY

家で歌ものとか聴かなくて。ドビュッシーも影響されたという。和声が特別で、そこがプリファブとも通じるところで。





『A DISTANT SHORE』
by TRACEY THORN

女の人なら低い声が好きかも。あんまり抑揚感がない声。




後は 『AND SHE CLOSED HER EYES』
STINA NORDENSTAM。



『BUTTER YELLOW』
by LOIS とかですね。

 

(Barfout! Vol. 071, 2001年7月号掲載)



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