Gb 1999年2月号 bice インタビュー

2019年9月8日

1999 bice Gb アルバム未収録曲 スニーカー ポニーキャニオン 記事

bice  スニーカー



私にとっては曲を書くことが
精神安定剤というか、なんかそんな感じ


98年7月にデビューしたbice。
卓越したメロディと詞のセンス、そしてなんともいえないさわやかで心地よいウィスパー・ボイスが好評だ。最新作「スニーカー」も、日常のなかから生まれるちょっとした幸せをさらりと届けてくれる。軽やかな、作品の空気感がたまらない。

 

文: 内本順一
text: Junichi Uchimoto




 「私という存在を知らしめたいから歌をうたう」とか、「コミュニケーションの手段として歌がある」とか、「メッセージを歌に託して、多少なりとも世の中に問いたい」とか、まあ、なんでもいいんだけど、とりあえずそういったドラマ性がbiceの曲作り
および、歌うたいの動機になっているわけじゃないことは明白だ。biceはまず、音楽や映画を受け手として愛している。そしてそこから吸収したものが自分の日常生活のなかで、あるときフッと形となり、それがメロディになり、歌詞になり、歌になっていく。だから当然のこと、聴き手の日常のなかにも、彼女の歌はスッと入り込んでくる。
 
 軽やかながらも甘酸っぱいメロディと、ウィスパー・ボイスが気持ちよく飛び込んでくる2nd(マキシ)シングル「スニーカー」を発表したbiceに聞いた。


―いわゆるウィスパーボイスといわれる歌声ながら、変にけだるい感じはなく、さわやかなテイストもあったりして、その感じがなかなかユニークだなと思いました。

bice 自分が歌いやすい、気持ちいいってところで歌ってるから。家の12畳くらいの部屋に機材とか置いてて、そこでデモ・テープとか録っちゃうんですけど、ちっちゃい声で歌ったほうが、でき上がったときにそのままの世界が伝わるだろうなって。前は大きな声で歌ったりもしてたけど。

―じゃあ、今の声の出し方は意識的に?

bice これまでもデモテープのときは小さい声で録って、で、実際の歌入れのときには地声でっていうやり方をしてたんですけど、べつにそのままでもいいんじゃないかな~と思って。自然に。やっぱり自分をいちばん表現できる方法でやるのがいいし、今の曲にも合ってると思うし。


―家に機材置いて、ほとんど自分で形にしていくやり方は、いつごろから?

bice 6年くらい前から。最初はバンド組もうとして、でもなかなか周りに人がいなくて、自分でやるしかないっていう環境から始めたことなんですけどね。もともとめんどくさがりだから、私。ギター始めたのも、人にギターたのんで、こうでこうでって説明するのがめんどくさくなっちゃったからなんですけど。それにひとつひとつ大げさに作るのも時間かかるし、それより手軽に書くことが大切だったりもするんで。


―ああ、そんな感じは曲に出てますね。人を集めてリハ重ねて構築していくというよりは、日常生活のなかから自然に音楽が生まれてくる、というような。

bice そう。


―生活しながら出てきちゃったメロディを大切にしたいというような……。

bice そうです。今までは出てきたメロディを譜面に起こして直したりもしてたんですけど、そうするとどんどん新鮮さが失われていくような気がして、最近はあまり直さないようにしてる。後から修正することはいくらでもできるけど、やっぱり最初に出てきたメロディを大切にしたいと。


―そういった曲の生まれ方とも関係あるのかもしれないけど、自分をアピールしたいとか、歌のメッセージで世の中を変えたいとか(笑)、そういうところとは無縁の場所にbiceは存在してる気がした。

bice うん。テンションあげてほしいときに向いてる声でもないですしね。(笑) 自分でもソフトロックとか聴いたりしてるんですけど、こう、何回でも聴いていられる……一生懸命聴こうとしないで聴いていられる音楽が好きで、私もそういうのを作りたいと思ってるから。自分をわかってほしいから曲を書くとかとは全然違って。いろんな音楽を聴いて、それはすぐには吸収されないんだけど、あるとき、自然に自分のなかから、自分なりの音楽になって出てくるというか。なんか日記のようなもんで。


―うん、日記に近い感じはすごくする。

bice 日記をつけないと安心して眠れない人っているじゃないですか?そういう感じで、私にとっては曲を書くことが精神安定剤というか、なんかそんな感じ。


―なるほど。で、2ndシングルの「スニーカー」ですが、これもそうやって自然に生まれた曲なんですか?

bice ですね。ブースの中で遊びながら出てきたメロディで。すごい強いメロディだと思ったので、あえてアレンジらしいアレンジもしてないんですけど。


―すごく強いメロディだし、歌詞も含めて軽やかですよね、とっても。

bice うん。自分の気持ちのフットワークは軽くしたいっていうか。そういった意味も込めて“スニーカー”なんですけど。じつはね。好きな人のスニーカーを見てて、“いい感じだな”と思って。(笑)

PROFILE: bice (ビーチェ) 98.7.17 マキシ・シングル「bice」でデビュー。
所属レコード会社/事務所=ポニーキャニオン/プライムローズ

(Gb 1999年2月号 掲載)

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